ガルバリウム鋼板について解説しました(^▽^)/ (1)
今回はガルバリウム鋼板の屋根と外壁両方のメリットとデメリットについて2回に分けて解説します。
また、新築とリフォーム両方を踏まえた内容になるので、情報が盛りだくさんになっています。
ガルバリウム鋼板の屋根や外壁を検討している人のお役にたてると嬉しいです。
目次
「ガルバリウム」と「ガルバリウム鋼板」の違い
ガルバリウムとは「亜鉛」と「アルミ」「シリコン」を組み合わせた合金のことを言います。
そのガルバリウムでメッキを施した鉄(鋼板)の建材がガルバリウム鋼板です。
現在ではそのメリットの多さから屋根や外壁に広く用いられています。
ここまで普及した最も大きな理由が「錆びにくさ」です。
メッキに使用される「亜鉛」は、溶けることで錆びによる穴あきの拡大を抑える「防腐作用」を持っています。
この亜鉛をメッキした金属建材を「トタン」と言います。
トタンは時間とともに亜鉛が溶けてなくなってしまうと防食作用が失われるという欠点がありました。
そこで「亜鉛とアルミ」を組み合わせてガルバリウムが開発されました。
アルミには亜鉛が溶けてしまった穴を埋めてくれる「保護作用」があり、亜鉛の「防腐作用」とサイクルして「自己修復作用」を備えることになります。
これによってガルバリウム鋼板は、長期間錆びが拡大しにくいという革新的な金属建材となったのです。
1990年代にはその耐久性の高さから板金工事の主役は完全にトタンからガルバリウム鋼板へと移行し建材としてなくてはならない存在となりました。
そしてガルバリウム鋼板が普及するにつれて、錆びへの強さ以外のメリットにも目を向けられるようになりさらに多くのお客様に選ばれる建材になったのです。
キーワードは断熱材一体型
ガルバリウム鋼板を選ぶ際はその製品が「断熱材一体型」か「何もない鋼板だけ」をできる限り断熱材一体型の製品を選ぶようにしましょう。
断熱材一体型とはガルバリウム鋼板の裏に断熱材を貼り付けたもので、金属建材の弱点である断熱性や遮音性を補い、結果的に他の屋根材や外壁材より優れた性能を得られる建材になっています。
もちろん、何もない鋼板だけのガルバリウム鋼板に比べると、断熱材一体型はコストがかかってしまいます。
屋根と外壁を断熱材一体型にすると一軒あたり30〜40万円程度のコストが増えますが、将来にわたり暑さや寒さ、外の音に悩まされることが避けられるのであれば、決して大きな差でありません。
ガルバリウム鋼板を選ぶ際には得られるメリットが大きい、断熱材一体型の製品を選ぶようにすると良いでしょう。
ガルバリウム鋼板のメリット11点
まずはガルバリウム鋼板のメリットを11点取り上げます。
錆びに対する強さ以外にもガルバリウム鋼板には多くのメリットがあり、幅広い形で恩恵をもたらしてくれる建材です。
1.耐久性(錆びに強い)に優れている
ガルバリウム鋼板の「寿命」について、疑問に思う方も多いと思います。
ガルバリウム鋼板の耐久性は25年から30年はあり、正しくメンテナンスをおこなえば40年以上の耐久性が期待できます。
ガルバリウム鋼板は新しく登場した建材のように思っている人が多いです。
実は商用生産が1982年に始まり、広く使われるようになってから既に30年以上経っています。
十分な実績があり、安心して用いられる建材と言い切れます。
同じ屋根材であるアスファルトシングルやスレートの20〜30年といった耐久性に比べると、ワンランク上の長寿命建材です。
2.耐震性に優れている
ガルバリウム鋼板はとても軽いため、耐震性に優れた建材です。
地震の際に屋根が重いとそれだけ建物は激しく揺れることになり、建物への負荷はもちろん屋内の家具倒壊などの危険も増します。
3.耐熱性に優れている
断熱性において断熱材一体型のガルバリウム鋼板は、他の建材と比較してとても優れた性能を持っています。
断熱性を表す数値の一つに熱貫流率があります。
これは1㎡の材料に対して1時間でどれくらいの熱が通り抜けるかを表したもので、数字が小さいほど熱が通りにくく断熱性が優れることを意味します。
特に外壁材において、断熱材一体型のガルバリウム鋼板の外壁材は飛びぬけて優れた断熱性があることがわかります。
なお、古い屋根材や外壁材の上に新たなガルバリウム鋼板の建材を張るカバー工法をおこなうと、屋根材と外壁材が2重となるためさらに断熱性を向上させることができます。
つまり、リフォームで断熱性を向上させる目的においても、ガルバリウム鋼板の建材は理想的な材料となっています。
4.遮音性に優れている
断熱材一体型のガルバリウム鋼板は、遮音性にも優れています。
具体的には。日常生活を送るにあたって、騒音は45dB(デシベル)以下にすることが望ましいとされています。
例えば断熱材一体型のガルバリウム鋼板屋根は雨音が70dBの騒音を31dBに低減し、外壁材では外の80dBの騒音を28dBに低減します。
なお、30dBは非常に小さく聞こえる音であり、目安としてはささやき声と同じ程度とされています。
「金属屋根は雨音がうるさい」。とった声をよく耳にします。
そのような悪評は断熱材一体型ではない金属屋根や外壁材のことを示しています。
断熱材一体型のガルバリウム鋼板製品を採用すれば、家の中に伝わる雨音は小さくなるので安心してください。
もちろん、屋根も外壁もカバー工法で仕上げれば、新旧2重の屋根材となるため、さらに遮音性は高まります。
筆者の経験上、断熱材一体型の製品を用いた場合、音に関するクレームが発生したことは一度もありません。
5.シンプルかつスタイリッシュなデザイン
金属ならではのシンプルでスタイリッシュなデザインを好まれる方が増えています。
モダンなテイストは都会の町並みにもマッチするだけではなく、自然の多い風景にもシンプルさは調和します。
ガルバリウム鋼板に木製の外壁材や建具を組み合わせるデザインも人気です。
将来中古住宅として販売するとしても買い手を選ばず、ガルバリウム鋼板というだけで資産価値を保つことに一役買ってくれるでしょう。
6.改修時にかかる費用と時間が抑えられる
大型台風や地震による被害は、この先10年、20年、日本各地に繰り返し発生するはずです。
住まいが被害を受けると、屋根を葺き替えたり外壁を張り替えたりすることになります。
もし屋根が陶器瓦だったり、外壁が窯業サイディングであったりする場合、張り替えには想像以上の改修費用と時間がかかります。
もちろん、火災保険や地震保険に加入していれば出費の問題はないでしょう。
しかし、住宅ローンを完済したことで保険未加入を選択した人が被災者となって困窮するといったケースが少なくありません。
また、自然災害は同一地域に一斉に発生するため、業者がすぐに直してくれる保証はありません。
ガルバリウム鋼板の屋根や外壁材は、軽量で極めて作業性が良い建材です。
短時間で張替えることが可能であり、補修なども他の建材に比べて簡単です。
そのうえ、廃材はリサイクルでき、処分費用がかかりません。
むしろスクラップ業者に売ることができます。
金属建材は被災者の負担を軽減し、さらにはリサイクルすることで環境負荷も減らせる点で、人と地球に優しい材料です。
7.カバー工法が採用できる
古い屋根や外壁の上に新しい金属屋根を被せるカバー工法が人気になっています。
屋根と外壁のリフォームでは、まずはじめにカバー工法の可否を考える時代になっています。
よく知られているとおり、ガルバリウム鋼板の屋根や外壁は、軽いメリットを活かして新たに張ることができる材料として用いることができます。
一方で、元の屋根が金属屋根や金属外壁であれば、今度は張られる側の材料にもなります。(※全ての商品が当てはまりません)
たとえば、瓦の屋根はカバー工法で用いることも、用いられることもできない建材です。
金属建材はその軽さとフラットな形状によって、様々な改修方法が選択できる応用力の高い建材とも言えます。
8.シーリングのメンテナンス性に優れている
外壁で高いシェア率を占めている窯業サイディングは、各部の継ぎ目にシーリングと呼ばれる防水材(接着剤)を打って、隙間を埋めます。
このシーリングは外部に露出し、紫外線や風雨の影響を受けます。
そのため、年数が経つと硬化によるひび割れや剥離を起こします。
10年から15年の周期で新たにシーリングを交換する改修工事が必要となり、その費用は1回につき約15万円から25万円程度です。
窯業サイディングを外壁材として選ぶ際は、このシーリングにかかる費用をランニングコストとして考えておかなければなりません。
ガルバリウム鋼板の外壁もシーリングと無縁ではなく、シーリングを打つことにはなります。
しかし、金属サイディングの場合、継ぎ目の大部分が「見切り縁(みきりぶち)」とよばれる部材で覆い隠されます。
外部に露出する部分は窯業サイディングの約1/3程度です。
見切り縁で隠されたシーリングは紫外線や風雨の影響を直接受けないため、長期にわたりメンテナンスは不要と筆者は評価しています。
屋根も棟(むね)などの接合か所にシーリングを打ちます。
しかし、外壁のようにシーリングのすぐ裏に大きなすき間がある構造ではないので、適切に金属屋根を仕上げていれば、屋根のシーリングの劣化による雨漏りリスクは極めて低いです。
9.ヒビや割れることがない
瓦やスレートなどの屋根材やモルタルや窯業サイディングなどの外壁材は年数が経つにつれてヒビ割れが生じやすくなります。
ヒビ割れが原因となる雨漏りに悩まされる人が少なくありません。
大型地震が発生した時や、寒い地域は凍結の影響でヒビ割れがおこりやすいです。
言うまでもないことですが、ガルバリウム鋼板は金属素材なのでヒビ割れの心配がありません。
屋根材のヒビ割れのしにくさ
外壁材のヒビ割れのしにくさ
10.汚れが付きにくい
ガルバリウム鋼板は湿気や雨水を吸収することがなく、ほかの屋根材や外壁に比べてコケやカビなどの汚れが付きにくい素材になっています。
モルタルやセメントは塗膜が薄くなると表面が荒くなり、そこにっコケやカビが付着し根をはります。
スレート屋根や窯業サイディング外壁の建物の日当たりが悪い北側にコケがびっしりと生え汚くなってしまうのはこのためです。
ただし、窓枠まわりの雨染みは他の建材と同様、ガルバリウム鋼板は付着します。
外壁はフッ素塗膜以上の商品が標準品なので、色あせによる塗り替え頻度は少なくて済みます。
屋根については、フッ素塗膜の商品は基本的に業者から進められることは少ないはずです。
出来れば、屋根もフッ素塗膜の商品を選択することをおススメします。
屋根材の汚れの付きにくさ
※ 標準的に用いられている商品を基準にした評価です。商品(グレード)によっては汚れのつきにくい商品もあります。
外壁材の汚れの付きにくさ
※ 標準的に用いられている商品を基準にした評価です。商品(グレード)によっては汚れのつきにくい商品もあります。
11.メーカー保証が得られる(リフォーム時)
リフォームで古い屋根材からの葺き替えでスレート屋根を用いた場合、新築と違ってメーカーの製品保証は受けられません。
しかし、ガルバリウム鋼板の屋根や外壁は、リフォームで用いた場合でもメーカーの製品保証が受けられます。
たとえば、ガルバリウム鋼板の屋根であれば穴あき10年保証が標準的に付きます。
弊社で人気の横暖ルーフαプレミアムSの場合、穴あき保証は25年であり、塗膜変退色保証が20年付きます。
常に紫外線や風雨にさらされる過酷な環境下にある屋根材にとって、この保証の有無は長く住むなかで修理費どの出費に大きな差が生まれる可能性があります。
金属屋根材がコストパフォーマンスに優れると言われる理由には、この保証の有無が大きく関わっています。
なお、金属建材加工メーカーの製品ではないガルバリウム鋼板の屋根や外壁はメーカー保証が付きません。
ご注意ください。
まとめ
最後までお付き合いいただきありがとうございました(^▽^)/
今回はガルバリウム鋼板について解説しました、次回はデメリットなどについて解説しますので、ぜひ見てくださいね!
株式会社シマジューでは、塗装・リフォームなども承っておりますので気軽に下記の電話番号・LINE @のほうにお問い合わせください。
☎0120-905-435