セメント瓦・モニエル瓦のメンテナンスについて解説しました(^▽^)/
定期的な塗装が必要となるスレート屋根や金属屋根に対し、瓦屋根はその必要がありません。
近所で屋根塗装をしているのを見て「瓦でよかった」と思った方もいるかと思います。
しかし、その瓦の中にも定期的に塗装をしなければならないものがあることをご存じでしょうか?
それがセメント瓦やモニエル瓦です。
目次
確認しましょう!貴方の瓦屋根、塗装が必要なセメント瓦・モニエル瓦かも
一般的に塗装シーズンと言われている春と秋。
近所でも足場が立ち、屋根塗装している様子を見かけると瓦屋根にお住まいの、「うちは屋根塗装の必要がない瓦屋根でよかった」、「塗り替えするにしても外壁塗装だけで済むから、屋根塗装分の費用が浮いてお得だ」と思ったこともあるかと思います。粘土から作られた瓦は塗装の必要がないうえに、非常に耐用年数が長く、寿命は50年とも100年ともいわれています。
現に日本では約1400年前に造られた瓦が現役で使用されている建物もあります。
しかし、瓦と呼ばれる建材の中にも塗り替えをしなければならないものもあります。
それがセメント瓦やモニエル瓦です。
セメントに繊維を混ぜ込んで成形し、着色をした屋根材で厚型スレートと呼ばれることからもわかるように、同じ素材の薄いスレート(カラーベスト・コロニアル)に近い性質を持っています。塗装をすることによって防水性を高めて、表面を保護する必要があります。
【セメント瓦】
【モニエル瓦】
まずは自分のお家の瓦を知りましょう
株式会社シマジューではたまに「瓦屋根と聞いていたから塗り替えなどのメンテナンスは必要ないと思っていたけれど、実は塗装が必要なセメント瓦だと築10数年経って初めて知った」というご相談が寄せられます。
外壁となると色々こだわる方が多いのですが、屋根は「あまり見えないから」といってあまり興味を持たれない方も多いです。
お住まいを大切にするためにもご自分のお家の屋根材は知っておきましょう。
幸いなことに同じ瓦であっても、塗装が必要ない瓦と必要な瓦は形状などの外観から容易に判断することができます。
・塗装の必要がない瓦・粘土瓦全般の特徴
自然界に存在する粘土をこねて成形し、窯で焼いたもので、釉薬をかけて焼いた釉薬瓦、焼いた後に燻したいぶし瓦、そのまま焼いた素焼き瓦があります。
基本的にどの瓦でも断面や角が丸みを帯びているのが特徴になっています。
釉薬瓦のうわぐすりをかけていない裏側と素焼き瓦は赤茶色をしていて、いぶし瓦は薫化させて色を付けているので、瓦の中までその色が染み込んでおり、割ってみると中まで黒いのがわかります。
・塗装が必要な瓦、セメント瓦やモニエル瓦の特徴
粘土瓦との最大の違いは断面が角張っており、意匠性に富んだものも多く、表面にラインなどの装飾がなされているものも多くなっています。
他の特徴として粘土瓦より大きいものが多く、表面が粘土瓦のように滑らかではなく、ゴツゴツしています。
こういった特徴がある瓦はセメント瓦やモニエル瓦なので、定期的な塗装が必要になります。
セメント瓦とモニエル瓦を塗装しないとどうなるの?
セメント瓦とモニエル瓦の主成分はセメントなので、塗膜が薄くなってしまえば、容赦なく水が染み込んできてしまいます。
水が染み込んでくると、そこにセメント成分であるカルシウムが溶け出して、外部に流出してしまいます。
成分であるカルシウムが流出してしまうと、それだけ内部はスカスカになってしまうので、どんどん強度が落ちて脆くなってしまうので、割れやすくなってしまいます。
セメント瓦とモニエル瓦は新品であっても、粘土瓦のような強度はないと言われています。
その強度が落ちてしまうのでこれは問題です。
防水性は塗装によって回復させることができますが、流出したカルシウムをもとに戻すことは不可能です。長持ちさせようと思ったら、その前にメンテナンスをすることが大前提となっています。
瓦屋根共通のメンテナンス どんな瓦屋根にも漆喰の補修は必要です
粘土瓦であっても、セメント瓦やモニエル瓦であっても、瓦を固定して支えているのは漆喰です。
漆喰は粘土瓦のようにメンテナンスフリーというわけにはいかず、定期的にお手入れが必要になります。
漆喰の耐用年数は、十数年と言われていますので、屋根塗装の度に点検してあげれば安心です。
また、現在では漆喰を使用しない棟瓦の固定方法も普及してきました。
軽量のハイロールという樹脂製のテープで覆った補強木材に棟瓦を固定する方法です。
仮に棟の長さが40mとすると、従来の工法よりも約650㎏の軽量化が可能となります。
棟瓦のずれや崩れに対して強くなるだけでなく、耐震性も大きく向上します。
耐用年数も長くなるのでおすすめです。
こういったメンテナンスも株式会社シマジューにご相談ください。
セメント瓦とモニエル瓦の塗装は意外と難しい
実をいうとセメント瓦とモニエル瓦は塗装が必要にも関わらず、その施工の難易度が高いのです。
技術や腕が要求されるわけではないのですが、塗装してもすぐ剥がれてくるという施工不良が起こりやすのです。
・塗装してくれない業者とその理由
外壁ならモルタル、窯業系サイディング、金属系サイディング、屋根ならスレート、金属屋根、コンクリートの塀などもお任せくださいという塗装業者でもセメント瓦やモニエル瓦となると、施工を断る業者がいます。
これはセメント瓦とモニエル瓦でその塗装の使用が大きく異なるからです。
これを間違えてしまうと極端に耐用年数が短くなってしまったり、すぐに塗膜が剥がれてくるからです。
同じ原材料から作られているセメント瓦とモニエル瓦は外観が非常に似ているので、混同しやすいのです。
混同してしまうと施工不良が発生してしまいます。
お客様にご迷惑をかけてしまうので、断っているのです。
良心的な業者ともいえるでしょう。問題なのは「瓦が寿命ということをアピールしておけば、後で塗膜が剥がれてきても問題なく処理できる」と考えて、ギャンブルで塗ってしまう業者もいることです。
成功すればいいのですが、失敗してしまうとお客様だけが損してしまいます。
・難しいとされるセメント瓦とモニエル瓦の見分け方
ここで改めてセメント瓦とモニエル瓦を見比べてみましょう。
よく似ているデザインも複数あるので見分けることは難しく思えるのですが、実はある部分に注目すれば簡単なのです。
それぞれ瓦の下端、小口と呼ばれる部分に注目してみましょう。
セメント瓦は小口部分がすっきりと滑らかですが、モニエル瓦はかなり凸凹しています。形状やデザインに関わらず、ここを見て判断するのが一番確実になります。
セメント瓦の塗装方法
セメント瓦の塗装は特に難しいことはありません。
スレート屋根の塗装や通常の外壁塗装と同じ工程で進めていきます。
外壁や他の屋根と同じように高圧洗浄を充分に行います。
積年の汚れがひどい場合は高圧洗浄を繰り返し行います。
天気にもよりますが、乾燥はたっぷりと時間をかけて行います。表面が傷んでおり、吸水しやすくなっている場合は念入りに乾かします。その後、下地がざらざらしているようなフィラー、ざらざらしていないようなシーラーと状態によって下塗り材を変えて、下塗りを行います。
フィラーを塗布してもざらつきが収まらないようであれば、さらに下塗りが重ねます。その後、中塗ると上塗り、仕上げの2回塗りを行います。
1.高圧洗浄で塗る部分を綺麗にして乾燥
2.下塗り材で密着率を上げる
3.中塗りと下塗りで仕上げる
モニエル瓦の正しい塗装方法
モニエル瓦には表面にスラリー層という特殊な着色層があり、これが塗装を難しくしています。
このスラリー層は脆弱で塗装の付着を邪魔するので、簡単に剥がれてしまうのです。スラリー層を取り除く、もしくはスラリー層を強化して剥がれが起こらないようにする、どちらかを選択するしかありません。
まずスラリー層を除去する方法ですが、入念な高圧洗浄を行う方法があります。
脆弱なスラリー層を強化するにはスラリー強化プライマーを使用する方法があります。
モニエル瓦は塗膜25年保証という異例の保証をつけていました。
それを可能にしたのがスラリー層ですから、株式会社シマジューではスラリー強化プライマーを使用することをおすすめします。
高圧洗浄を充分に行った後、スラリー強化プライマーで下塗りを行い、しっかりと乾燥させます。
その後、スラリー層が強化されたか、ガムテープで粘着テストを行います。
スラリー層がテープについてこないようなら、中塗りと上塗りに入ります。スラリー層が剥がれてしまったら、再度、スラリー強化プライマーを塗布し、粘着テストに合格した後に中塗りと上塗りを行います。
1.高圧洗浄、スラリー強化プライマーで下塗り
2.スラリー層確認テスト
3.スラリー層テストで合格後に中塗り・上塗り
モニエル瓦は製造中止のため、在庫もほぼゼロ
セメント瓦も廃盤で在庫が少ない状態
長持ちさせるにはこまめなメンテナンスが必要です
粘土瓦よりもメンテナンスに手間がかかる上に耐用年数は短いということで、セメント瓦とモニエル瓦の人気は下降し、現在では製造・販売を行っているところも少なくなっています。
セメント瓦については製造・販売を行っているところは極めて少ないでしょう。モニエル瓦は外資系の会社で日本市場からは完全に撤退しています。
撤退時、モニエル瓦の在庫は豊富に残されていたらしいのですが、東日本大震災でその倉庫が被災してしまい、ほぼ割れてしまったそうです。
新品で手に入ることはまずなく、中古もかなり希少になっています。
今ある瓦をできるだけ長く、使い続けるしかいないのです。長く使い続けるためにも塗り替えなどのメンテナンスを続けていかなければなりません。
まとめ
最後までお付き合いいただきありがとうございました(^▽^)/
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