スレート屋根のメンテナンスについて解説しました(^▽^)/
現在の日本の屋根の多くを占めるスレート(カラーベスト・コロニアル)屋根。これほどまでに普及した理由は初期コストにあります。屋根材の中でも比較的安く、工期も短いからです。屋根塗装などのメンテナンスによって、スレート屋根を長寿命化できれば、ランニングコストも下げられます。ここでは耐用年数を延ばすための正しい塗装方法と工程をご紹介していきます。
目次
スレート屋根はメンテナンスとして塗り替えが絶対に必要です
住宅地を見下ろせるような小高いところを歩くと様々なお家の屋根が見えますよね。風格のある昔ながらのお屋敷の瓦屋根から、現代的な勾配のない陸屋根まで実に様々です。地域差はあると思いますが、その中でも最も多いのがスレート(カラーベスト・コロニアル)屋根です。
このスレート屋根ですが、綺麗な屋根もあれば、苔や藻が繁殖してしまい何とも形容しがたい茶緑色になった屋根もあります。苔や藻が発生する前に塗り替えてあげるのが正しいメンテナンス方法です。
ところが、リフォーム業者によっては「スレート屋根には塗装の必要がありません」と断言してしまうところもあります。彼らに言わせると「単に美観だけの問題であって、塗装をしたところで耐用年数はさほど変わらないから」だそうです。
スレート屋根の塗装は美観だけではなく防水性を回復させるのが本来の目的
確かに老朽化して傷付いたスレート屋根に塗装を施しても、綺麗にはなりますが耐用年数は伸びません。
新築から10年前後を目安として、そのような状態になる前に塗り替えてあげることで耐用年数を伸ばすことができるとお客様にはお伝えしております。
そもそも塗装の本来の目的は防水性を回復させることにより、耐蝕性を高めるためのものだからです。金属に塗装すれば水と直接触れることがなくなるので、錆びにくくなります。スレート屋根も同様で、雨水に直接触れることがなければ吸水も起こりません。
吸水による膨張、水分が乾燥する際の収縮も起こらなくなります。建材にとって膨張と収縮は多大なストレスであり、変形や欠け、割れに繋がります。繰り返せば、繰り返すほど脆くなってしまうのです。
防水性が高くなければ、凍害の影響も受けにくい
寒冷地域でよく見られる現象として建物への凍害があります。建材が吸水してしまった水が凍ることによって体積が増え、建材を破壊してしまう現象のことです。
水が液体から氷の固体になると体積がおよそ9%程度膨張します。その膨張力は約2,000気圧に相当するので、1c㎡あたり約2tです。これだとどんなものでも簡単に壊れてしまいます。
凍害は寒冷地域特有のものではなく、霜や氷が張る地域ならば、どこでも起こりえる現象です。特別に温暖な地方でもない限り、冬の屋根の上には霜も降りますし、雪も降り積もります。スレート屋根に吸水させないためにも屋根塗装で防水性を高めなくてはなりません。
スレート屋根の最適な塗装時期はいつ?
「スレート屋根は新築後、何年経過したら塗り替えればいいのだろう」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
これについてはさまざまな説がありますが、前に述べたようにまずは新築から10年を目安に考えておけば間違いないでしょう。もちろん、もっと早い時期でも大丈夫ですが、ハウスメーカーなどでは「他社が工事した場合、保証を無効とする」なんて取り決めもありますから、その新築時の保証が切れた時点で塗装するのがベストと言えるでしょう。早めにメンテナンスするのに越したことはありません。
最適な塗装時期を逃してしまった場合はどうするべきか
できるだけ早く塗装してあげましょう。防水性が低下するということはそれだけ屋根の寿命を縮めていることになります。スレートはこれまでかなりの量が流通してきたので、塗料も数多くのものが発売されています。かなりダメージを受けたスレートを保護し、強化する下塗り材も各メーカーから発売されています。
どんな屋根材でも傷めてしまうと次の選択肢が少なくなります。便利な製品があると言っても、早めにメンテナンスするに越したことはないのです。
スレート屋根の特徴と成分
スレートというと本来は天然の粘板岩を薄く切り出して成型したものでしたが、現在では工場で製造・加工されたものがそう呼ばれるようになりました。昔は天然スレート、人造スレートと区別されていましたが、いつの間にかそれがなくなり、スレートと言えば工場で製造・加工されたものを指すようになりました。
スレートの厚みは約5~6mm程度と薄く、セメントに繊維を混ぜ合わせ、成型したものです。セメントに防水性はないので、工場で塗装されてから出荷されます。スレート屋根に塗装するというのは工場出荷時に状態を近づけるという観点からも正しいものなのです。
スレートの他にカラーベストやコロニアルと呼ばれる理由は「カラーベスト」や「コロニアル」が商品名として使われていたからです。呼ばれ方が違っても厚さや主成分はほぼ同じになっています。
余談ですが、現在の戸建て住宅に最も使用されている外壁は窯業系サイディングです。窯業系サイディングもセメントに繊維を混ぜ合わせ、成型したものなので、現在のお家はセメントと繊維の建物ということになります。
スレート屋根の正しい塗装方法
屋根材としての流通量も多く、メンテナンスとして塗り替えも多く行われているのですが、未だに間違った屋根塗装をされてしまうケースが後を断たないのがスレート屋根です。
塗装の基本は「塗る部分を綺麗にして乾燥させる」、「適切な下塗り材を使って中塗りと上塗りの密着率を上げる」、「中塗りと上塗りで仕上げる」の3つで、充分な乾燥時間を経てからこれらを行います。スレート屋根を塗装する際はこれら基本の他、屋根の知識が必要になってきます。
スレート屋根に間違った塗装をすると雨漏りしてしまいます
建設や建築に詳しい方でないと、ちょっと理解しがたい話だと思うのですが、ほとんどの屋根には数多くの隙間が設けられていることをご存知ですか。
これらは通気のための隙間であって、結露の原因となる水蒸気や屋根材の下に入り込んでしまった雨水を排出とするためにあるのです。屋根は密閉されているわけではないのです。
これらの隙間はもちろん、雨が入り込まないような開け方をされているのですが、横殴りの雨や豪雨の場合、屋根材の下に雨が入り込んでしまうこともあります。屋根材の下には防水紙が敷かれており、室内側に雨水を浸入させることなく、排出できるようになっています。室内に雨漏りするという場合、屋根や外壁の不具合の他、この防水紙にも不具合が発生していることが多くなっています。
スレート屋根も屋根材と屋根材の重なり部分は全て屋根材の下に通じる隙間です。この隙間は非常に狭く、屋根塗装をしてしまうと塞がってしまうこともあります。塞がったままにしておくと、水蒸気や入り込んだ雨水を排出できなくなり、雨漏りしてしまいます。
また、隙間が非常に狭くなってしまうと、毛細管現象が発生し、雨水を吸い上げてしまうこともあります。吸い上げられた雨水は排出されないことがほとんどで、これも雨漏りの原因になってしまいます。
「屋根塗装してから何かお部屋がジメジメするようになり、かび臭く感じるようになったと思ったら、雨漏りしてきた」ということもあります。
点検してみると、通気や雨水排出のために適切な隙間が塗料で覆われてしまっていることが多くなっています。スレート屋根を塗装した場合、適切な隙間を人為的に設けてあげなければならないのです。
毛細管現象とは
狭い隙間や細い管の中の液面が周囲と較べて上昇してしまう現象のこと。液体の表面張力と隙間や管の中の濡れやすさによって発生し、液体によっては下降するという現象も見られます。日常的に見られる現象で、飲料水のストローの液面が容器の液面より高くなっているのも毛細管現象の一つです。
スレート屋根塗装後の雨漏りを防ぐための工程、縁切り
スレート屋根を塗装した後、適切な隙間を人為的に設けてあげる工程のことを縁切りと言います。昔はスレート屋根の屋根材と屋根材の重なり部分に革すきやカッターで切り込みを入れて、塗料で覆われてしまった隙間を再度、確保していましたが、かなり作業時間がかかる工程で80㎡程度の屋根の場合、2人がかりで約8時間もかかってしまったり、関係ない部分の塗膜が傷ついたり、重なり部分の塗膜の乾きが遅く、剥がれてしまったりといろいろと苦労の絶えない作業だったため、現在では違う方法で縁切りが行われています。
タスペーサーで縁切りして通気性を確保
現在ではタスペーサーという製品を使って縁切りが行われています。下塗り後にタスペーサーを屋根材と屋根材の重なり部分に挿入し、中塗りの前に適切な隙間を確保するという工法です。タスペーサーはバネの構造を持っているので、踏んでも割れることがありません。また、下塗り材や塗料、それらを希釈するシンナーなどで溶けることもありません。ですが、実際の施工では希釈用のシンナーや下塗り材用の塗料で溶けてしまう万が一のリスクを避けるため、下塗りが乾燥した後に挿入します。
標準的なスレート屋根材、約910mm幅の場合、シングル工法では真ん中に、ダブル工法では左右それぞれ150mmのところに挿入します。
屋根塗装で足場を仮設するなら一緒に外壁塗装もご検討を
屋根塗装する際に必ず必要となるのが足場です。屋根塗装を検討するということはそれなりに築年数が経っているということであり、外壁もそろそろメンテナンス時期に来ているのではないでしょうか。
現在の戸建て住宅の外壁は窯業系サイディングが主流を占めています。窯業系サイディングはボードとボードの間にシーリング(コーキング)材が充填されており、こちらは屋根や外壁よりも早く劣化が始まります。
窯業系サイディングの外壁も10年前後で塗り替え時期を迎えます。金属系サイディングやALCも同様です。屋根の防水性が落ちているなら、外壁の防水性能が低下していてもおかしくはありません。
チョーキングについては以前詳しく解説したブログがあるので是非チェックしご自身で点検してみてください!
まとめ
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
株式会社シマジューでは、お客様のお家の状態に合わせて最適なプランを提案し施工しています(^▽^)/
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