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塩害を受けやすい住宅とそのメンテナンスについて解説しました(^▽^)/

外壁・屋根塗装・サイディング

住宅を見回したときに頑丈と思われてきた鉄部やコンクリートに劣化を感じたことはありませんか?このような変化を感じる機会が多いのは沿岸部にお住まいの方ではないでしょうか。

今回は普段意識している屋根材や外壁材ではなく、鉄部に劣化を招く【塩害】についてご紹介させていただきます。海に囲まれた日本では内陸部であっても少なからず塩害の影響を受けますので、必ず定期的な点検とメンテナンスを怠らず行いましょう。

 

目次

塩害が引き起こす劣化・トラブル

塩害とは主に海水・潮風が吹き付けることで様々な場所に被害をもたらすことですが、記憶に新しいのは2019年10月に発生した台風19号のケースではないでしょうか?

9月に発生した台風15号は倒木や電柱の損壊による停電が目立ちましたが、19号では巻き上げられた海水が電線等に付着し、通電・ショートを起こしたことで停電が起きた地域がいくつも発生しました。

また農地でも野菜に塩が付着することで水分を蒸発させてしまい結果枯らせてしまった、土壌が悪くなり根腐れを起こしてしまった等、塩害は建物だけではなく様々な場面で悪影響を及ぼしました。

 

・トタンやアルミといった金属素材に生じるサビ

恐らく沿岸部にお住まいのお客様は既にご存知かと思いますが、最も塩害が顕著に表れるのはトタンやアルミといった金属素材に生じる【サビ】です。

 通常金属素材は窯業系サイディングやセメント系のスレート屋根材よりも耐久性に優れた素材です。しかし表面皮膜が劣化することで錆が発生し、たちまち強度を低下させてしまいます。そしてそのサビを促進させている一つの要因が【塩害】なのです。

 

サビは一度でも発生するとどんどん範囲を拡大させてしまいますし、現在サビが発生していないお住まいであっても雨戸や戸袋、玄関ドア等に白い粉が付着しているお住まいは要注意です。
ちなみに塩害を放置しておくと金属系素材は錆びが進行し最悪の場合、穴あき等の腐食が起きてしまいます。腐食の進行度によっては塗装ではカバーしきれず張り替え等の大規模補修が必要になってしまいます。

 

・窯業サイディングやモルタル外壁、破風板・軒天等の付帯部等塗膜の劣化

また塩害は金属素材だけでなく窯業系サイディングやモルタル外壁、破風板・軒天等の付帯部等にも大きな影響を及ぼします。
塩害を受ける沿岸部は特に、内陸部と比較すると塗膜の劣化が速く、チョーキング(白亜化現象)や色あせが表れやすいということ、塗膜が劣化するという事は素地が露出するということになります。塩害だけでなく雨水による劣化も進行し構造部が傷んでしまうということもしっかり理解しましょう。

 

・見落としがちな塩害、コンクリートの劣化

また見落としがちな塩害としてコンクリートの劣化も挙げられます。住宅の基礎や駐車場にもコンクリートは使用されていますが、通常錆びる鉄筋はph12以上のアルカリ性を保つコンクリートに保護されていますので劣化しないと思われがちです。しかし海水や潮風に晒され続けることでそれが内部へと浸透し、いずれ鉄筋が錆び膨張しコンクリートのひび割れ・剥離を起こしてしまいます。これらは鉄筋の露出を招き一層劣化しやすくする悪循環を招きますので非常に危険です。

沿岸部である限り塩害を完全に防ぐという事は不可能ですので、必ず住宅を守るためにも塩害対策を行っていく必要があります。

 

塩害を受けやすい住宅の特徴

1.海に近いお住まい

潮風に晒されやすいお住まいは最も塩害の影響を受けますが、どれほど距離があれば良いのか分からないものです。一般的に塩害地域の定義は各社販売メーカーの中でも異なります。

例えば太陽光発電を販売する東芝が示す塩害地域は「海岸から300m以内」ですが、給湯器等を販売するパナソニックですと直接潮風が当たる地域での設置は500mを境に商品の仕様(耐塩害/標準品)を変えています。

しかし実際は風向き・風力によっても塩害の範囲は変わり、場所によっては海岸から7㎞以内でも塩害が生じると言われています。そのため一概には言えませんが潮の香りがしない・ベタベタとしない等、一般生活の中で海を感じなければ問題はありません。

 

2.高階層住宅

海岸から距離があるものの、階層が高い建物・お住まいですと平屋住宅よりも塩害の影響を受けやすくなります。オーシャンビューに憧れバルコニーやテラスを設けているお住まいもあると思いますが気づけば窓に塩が付着し、砂がサッシに入り込んでいるといったお悩みも多いことでしょう。もちろんこのような状態であれば屋根材・外壁材にも塩害と関係のある経年劣化(錆・チョーキング現象・色あせ・汚れ)が生じている可能性が高いですので一度外観に塩害が生じていないか見回してみましょう。

 

3.金属素材を使用している

上述しましたが塩害の影響を最も大きく受けるのはアルミやトタンといった金属素材です。サッシにも使用されているアルミ、ガルバリウム鋼板は錆びにくい素材として知られていますが、塩害によって表面皮膜が劣化すれば錆が発生してしまいます。

沿岸部の特性を把握し建てられた住宅の中には更に錆びにくいステンレスが使用されているお住まいもございます。

ちなみに現在ガルバリウム鋼板の改良も進んでおりアイジー工業では、海岸から5㎞以上が補償対象の従来のガルテクトを500m以上が補償対象のスーパーガルテクトへ切り替える等、必ずしも金属素材が沿岸部に適さないというわけではありません。大事なのは錆びにくく塩害に負けない素材を使用することです。

 

塩害を防ぐ方法

立地・気候の観点から塩害を完全に防ぐことは出来ませんが、被害を最小限に抑えるという事は可能です。そこでお住まいが劣化する前に出来る塩害対策を簡単にご説明していきたいと思います。

 

1.こまめな清掃

塩害は海水や潮風によって塩が素材に付着し続けることで発生しやすくなります。安価且つ簡易的に塩害を予防する措置としてホースなどでの水洗いを行います。

頑固にこびりつき中々取れない場合もありますが、硬いブラシ等でこすると塗膜や外壁材を傷つけ一層劣化しやすい状態になってしまいますので、綺麗な状態を維持するためにも柔らかいブラシでの清掃を心がけましょう。

 

2.サビにくい屋根・外壁への交換

既に塩害の影響を大きく受け錆びてしまっている素材は塗装による塗膜保護を行わない限り劣化を防ぐことが出来ません。

しかしそもそもは錆が発生しやすい素材を使用していることも塩害に悩まされ続ける原因かもしれません。特に築年数が経過しておりトタンやブリキを使用しているお住まいは、塗装では改善しきれない程塩害による錆が拡大しているケースが非常に多いですので、根本的な素材の交換を検討された方が良いかもしれません。

その場合はまとまった支出が発生する事、既存金属素材の錆が新規素材に移す“もらい錆”を防ぐ適切なメンテナンスを行うという事が非常に重要です。もらい錆は本来錆びるはずのない素材にも移し美観を損ねる・劣化を促進させる厄介な現象ですので十分にご注意ください。

塩害を受けにくい外壁材としてセメント(窯業)系や金属系サイディングではなく塩化ビニル(プラスチック)の樹脂系サイディングが挙げられます。

日本でのシェア率は1~2%程で見かける機会は少ないと思いますが、腐りにくく割れにくい点に加え、凍害や塩害の影響を受けにくいという事で注目され始めています。

イニシャルコストは窯業系サイディング等よりも高いのですが、ボードそのものに顔料が含有されていることから色あせを起こしにくく、耐用年数が30年近いものもありメンテナンスコストがかからないという特徴があります。

施工自体はそれほど難しくはありませんが妥当な施工費用なのか、樹脂系サイディングの特徴を把握している業者なのかをしっかり把握した上で張替・カバー工法に臨みましょう。

 

3.塗装メンテナンス

塩害を防ぐ方法として費用面・成果面ともにバランスが良いのが屋根塗装・外壁塗装です。

塩害に晒される沿岸部は内陸部よりも圧倒的に劣化が早い傾向にあります。それは新築・築浅住宅でも変わりませんので通常は築10年前後での塗装が推奨されていますが、実のところ沿岸部に関しては2~3年程前倒しに塗装を行っていく方が良いでしょう。

特に初めての外壁塗装をご検討されているほとんどのお住まいを保護しているのは、近年塗装で注目されている高耐久塗料(シリコンやフッ素)ではなく安価なアクリル塗料ですので、5年を経過した頃にチョーキング現象・汚れ・色褪せ等の劣化が著しいお住まいも少なくありません。

屋根塗装・外壁塗装を行う場合は足場も必要となり一時的な支出が増えますが、その後使用する塗料の耐久性によっては何年も塩害に対する清掃等を行う必要がありませんので適切な時期に適切な施工を行う事でお住まいの寿命を延ばすことに繋がります。

 

塩害に有効的な塗装方法

コストパフォーマンス、美観の向上にも有効な屋根塗装・外壁塗装メンテナンスですが、正しい施工を行わないと、後々塗膜の剥がれや膨れを起こしてしまいせっかくの塗り替えが台無しになってしまいます。

そこで塩害を受けているお住まいで塗装を行う上で知っておいていただきたい以下3点をご紹介したいと思います。

 

1.塩害に強い塗料は?

塩害にるよる錆の発生を長期的に防ぐための塗料として各社メーカーで耐塩害塗料を取り扱っております。しかしこれは沿岸部にある工場や倉庫において焼付塗装で皮膜を硬化させる塗料ですので一般住宅には不向きです。

一般住宅に使用する塩害に適切な塗料というとフッ素塗料や無機塗料です。

理由としてまずは高耐久であること、沿岸部は劣化しやすい傾向にあることから高耐久塗料を使用するに越したことはありません。またウレタン塗料やシリコン塗料よりも緻密な塗膜を形成するため紫外線や塩害から屋根材・外壁材の劣化を防ぐことが出来ます。

無機塗料は親水性機能を兼ね備えており、外壁に付着した簡単な汚れ・塩を自然に洗い流すセルフクリーニング機能を有しています。
方角や住宅形状によっては効果に差が出る場合もありますが、通常の塗料よりもはるかに汚れにくく塩害の影響を受けにくい塗膜を形成することが出来ます。

 

2.どのような下地処理を行う必要があるの?

これは塩害だけに限りませんが屋根材・外壁材には経年により汚れの付着が蓄積されています。そこにそのまま塗装を行っても素材との密着力が悪く剥がれや膨れといったトラブルが生じてしまいます。
そのためまずは高圧洗浄で屋根・外壁に付着している汚れ・旧塗膜・カビ・塩をしっかり洗い流してから塗装を行っていかなければなりません。

また塩害の影響を大きく受ける鉄部は酸素と水に接触することで錆が進行してしまいます。そこで錆止め塗料を塗り外気との接触を遮断させてから中塗り・上塗りを仕上げていきます。
よく塗装費用を抑えるために付帯部には安価な塗料を使用する業者もいますが、今回最も劣化・腐食の危険にさらされているのは付帯部です。必ず屋根・外壁塗料に負けない高耐久な塗料で塩害対策を行っていきましょう。

 

3.塩害による劣化・腐食が酷い場合はどうすればいいの?

塗膜がすぐに剥がれる、腐食による穴あきが著しい状態にまで劣化してしまうと塗装ではどうすることも出来ませんので、素材の交換や溶接による補修を検討していく必要があります。

しかしそれと同時になぜ塩害が進行してしまったのか、塩害対策で対処できなかったのかを考える必要があります。
塩害は季節等に関わらず常に付きまといます。塗装による塗膜保護で今後防ぐことが出来るのか、素材の変更を行うべきかをしっかり検討していきましょう。

 

まとめ

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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