窯業系サイディングのメンテナンスについて解説しました(^▽^)/
主な原料はセメントと繊維、厚みは最低でも12mm以上、原料と厚みから見るととても頑健に感じる窯業系サイディングですが、変形して反り返ってしまったり、変形に耐え切れずに割れたりすることをご存知でしょうか。住んでいるお家の外壁が反って浮いていたりひび割れていたりするのを見つけたら、とても不安に感じてしまいますよね。実をいうと反りや浮き、ひび、割れが起こる原因は外壁塗装などのメンテナンスを怠ってしまったからです。ひび、割れを防ぐメンテナンス方法、起こってしまった場合の補修方法を解説します。
目次
窯業系サイディングの変形と補修
現在、住宅に使用されている外壁材の約8割は窯業系サイディングと言われています。工場で生産されるため、品質が安定していて、デザインも豊富なのが特徴で、ご自宅の外壁が窯業系サイディングという方も多いかと思います。
この窯業系サイディング、経年による傷みによって変形してしまうことがあるといえば、信じられるでしょうか。「自分の家はおろか、ご近所も窯業系サイディングだけど、そんな家を見たことがない」という方もおられるでしょう。
しかしお庭を掃除中にふとお家を見上げたら、外壁に歪みがある、浮いているような影が見える、放っておいても大丈夫なのか、と心配になっている方もいると思います。
・窯業系サイディングの変形や浮きは補修すべき?
結論からいうと、窯業系サイディングの変形や浮きを見つけたら早めに補修やリフォームを検討しましょう。
よく見ないと分からないような反りであれば確かに大きな影響はないのですが、それが自然に直るようなことはありません。むしろ、日にちが経てば経つほど問題個所の状況はひどくなってしまいます。
外壁サイディングの浮きや割れで隙間ができれば、そこから雨風が入り込んで周りの建材にも影響を及ぼします。それだけでなく、外壁からの雨漏りを引き起こしてしまう可能性もあるのです。外壁の雨漏りは室内に影響が出にくく、気が付かないうちに外壁内部が腐食してボロボロに…なんてことになってしまうのは怖いですよね。
被害が大きくなればなるほど補修規模も大きくなってしまいます。早めに発見して補修するのがベストです。まずは窯業系サイディング劣化の状態を段階別にご紹介します。貴方のお家と見比べてみましょう。
実際に起こった 窯業サイディングの反りや浮き、ヒビ、割れ
窯業系サイディングはセメントに木質系繊維を混ぜ込んだものを外壁材として使いやすいようにボード状にしたもので、工場で塗装された後に出荷されます。
窯業系サイディングの変形として最初に起こるのが弓状の反りです。その後、症状が進むにつれ、変形していない他のものとの隙間ができてしまう浮きとなり、変形に強度が耐えられなくなり、釘やビスで固定されている部分周辺からひびが入ります。さらに変形が進むとひびが拡がり、割れに繋がります。
窯業系サイディングの変形 第1弾 反り
表面は意匠性やデザインによって模様などがつけられていますが、基本的には平らになっています。他の部分と較べて、何だか盛り上がっているように見える場合は反りが発生していると思って間違いないでしょう。
窯業系サイディングの変形 第2弾 浮き
反りが大きくなってしまうと、他の部分よりも出っ張ってきて浮いたように見えます。目地の部分のシーリングが剥がれてしまい、他のボードとの隙間ができてしまうこともあります。この隙間からは雨水など浸入するので、他の部分のボードにも悪影響を与えてしまいます。
窯業系サイディングの変形 第3弾 ヒビ(クラック)
窯業系サイディングは釘やビス、または金具で固定されています。反りなどの変形が大きくなってしまうと固定された部分に力が加わることとなり、それに強度が耐えられなくなると、ひび(クラック)が発生してしまいます。釘やビス、金具の固定力が弱い場合は釘やビスが抜け落ちたり、金具が外れてしまうこともあります。
窯業系サイディングの変形 第4弾 割れ
変形がより進み、ひびが拡大すると割れてしまいます。1枚のサイディングボードの中央付近から大きく割れてしまうということは少なく、釘やビスが打たれている周辺から割れてしまうケースがほとんどです。強風や揺れなどでサイディングボードが落下してくる可能性もあるので、すぐに補修が必要です。
窯業系サイディングが変形してしまう理由
建物の外装に使われる建材はどんなものでも水が大敵です。窯業系サイディングも類に漏れず、水が弱点となります。
例えば、目地のシーリングが剥がれてしまう、表面の塗膜が劣化してしまう、そういったことからサイディングは吸水するようになり、それが変形の原因となってしまうのです。
雨水が染み込めば、その分だけ膨張してしまいますし、それが乾燥すれば膨張した分だけ縮みます。膨張と乾燥時の収縮を繰り返すことによって徐々に変形していき、反りから浮き、クラック、割れへと進行してしまうのです。
窯業系サイディングはこういった雨水の染み込みを防ぐため、塗装されていますが、経年でその防水性は落ちていきます。また、シーリング材が劣化して目地から剥がれたりすると、そこからも雨水を吸収します。釘やビスによる穴も適切に処理されていなければ、そこからも雨水が染み込んでしまいます。
雨水の九州による膨張と乾燥時の収縮
窯業系サイディングはこういった雨水の染み込みを防ぐため、塗装されていますが、経年でその防水性は落ちていきます。また、シーリング材が劣化して目地から剥がれたりすると、そこからも雨水を吸収します。釘やビスによる穴も適切に処理されていなければ、そこからも雨水が染み込みます。
雨水を吸収してしまう現在とその箇所
・目地のシーリング材の劣化によるサイディングボードの断面の露出
目地のシーリングは一番最初に傷むところとも言われており、築10年を待たずにひび割れたり、痩せて隙間ができてしまうことも珍しくありません。サイディングボードの断面には塗装がされていないので、雨水などを吸収しやすいのです。また、総2階などの場合、2階の軒天から基礎まで目地が続いていることがほとんどです。雨水が通りやすい部分でもあるのです。
・釘やビスの周辺
サイディングボードが釘やビスで固定されている場合、その頭にはシーリング材による処理や塗料でタッチアップがされています。釘やビスは金属(ステンレス)ですから、他の部分より塗料が剥がれやすく、剥がれればそこから水が浸透していきます。
・塗料の剥がれ(脆弱化)
1階部分の外壁の場合、自転車が倒れてしまったり、ものを運んでいる時にぶつけてしまい、傷をつけてしまうことが稀にあります。塗膜を貫通するような傷の場合、そこから雨水が浸入します。また、塗膜は経年で傷んでいくので、定期的に外壁塗装を行って防水性を保持しておかないと雨水は染み込みやすくなります。
・直貼り工法
窯業系サイディングの施工方法には「直貼り工法」と「通気工法」があります。2000年ごろまで主流だったのが「直貼り工法」です。構造用合板の上に透湿防水シートを貼り、そこに直接サイディングを打ち付けてあります。
現在主流である「通気工法」の場合は、透湿防水シートの上に胴縁と呼ばれる木材を設置し、そこにサイディングを施工します。そうして外壁内部に通気層を設けることで湿気や水分の逃げ道となるのです。
外壁が直貼り工法だった場合、通気層がないため湿気がこもりやすく、サイディングの裏側から吸水してしまいます。
・施工不良
所定の位置にビスや釘が打たれていない、金具で固定する仕様なのにビスや釘で固定されているといった場合にも反りや浮き、ひび、割れが起こります。
窯業系サイディングは厚さはさまざまなものがありますが、一般的な住宅に使われているのは12mmのもの、14mmのもの、16mm以上のものがあります。14mmのものまではビスや釘で固定するのが一般的です。16mm以上のものは金具で固定するのが標準的な仕様になります。16mm以上のものはビスや釘で穴を開けて固定されることを想定していません。
・吸収された水が凍ることによって起こる凍害
寒冷な地域で起こりやすいのが凍害です。染み込んだ水が凍ることにより、体積が膨張して様々なものを破壊する現象です。
ご存知の通り、氷は水よりも体積が大きく、9%程度膨張します。水が氷になる際に膨張する力は凄まじく、温度にもよりますが約2,000気圧に相当すると言われています。1平方センチメートルあたり約2tです。これが窯業系サイディングの内部で繰り返されれば、ひびや割れに繋がります。
窯業サイディングが変形してしまった場合の補修方法
基本的に変形したサイディングボードは変形する前の形に戻すことはできません。このことを覚えておいてください。したがって、サイディングの反りの変形度合いによって補修方法が異なります。
また、窯業系サイディングの反りや浮きが起こるということは防水性が低下している証拠なので、多くの場合は補修と併せて外壁塗装を行います。
・サイディングの反りが少ない場合 釘やビスによる固定
窯業系サイディングの反りかえりが少ない場合に用いられる方法です。
釘やビスを増し打ちして固定します。釘やビスは胴縁のところに打ちます。外壁の裏に隠れている胴縁の位置はこれまで打たれていた釘の位置から判断します。
釘やビスで固定しましたら、その頭から浸水しないようにシーリング材を塗布し、外壁と同じような色の塗料でタッチアップを行い、目立たないようにします。
・サイディングの反りが大きい場合 大きな割れがある場合 部分的な張り替え
反りかえりが大きく、釘やビスで固定すると割れてしまう可能性が高い場合や、すでに大きなひびや割れが発生している場合に行います。周辺のシーリング材を剥がし、反っている部分のサイディングボードを取り外し、新しいものへと交換します。これまでと同じ模様のサイディングがあればよいのですが、既にモデルチェンジされていることも多く、その場合は近いデザインのものを選ぶことになります。人によっては非常に違和感を感じる外観になってしまうので、こうなる前に外壁塗装などでメンテナンスすることが理想です。
・微細な割れならば補修可能
サイディングボードの端で角の部分、釘やビスが打たれている周辺からひびが入り、割れてしまった場合も修復は可能です。シーリング材などを利用して接着し、塗装を行います。
まとめ
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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