劣化がはやい軒天、10年に一度は点検・メンテナンスをしましょう(^▽^)/
一般的な形状の住宅には軒(のき)というものが備え付けられており、軒があることによって雨の日であっても、玄関先で傘を閉じてドアを開けることができます。
お部屋の窓も軒
があることによって多少の雨なら簡単には降り込んでくることがありません。
屋根から伸びるこの軒(のき)と呼ばれる部分が、玄関先や窓などの建物の開口部を守ってくれています。
そしてこの軒の裏側を保護し視界に映った際、これが軒天だと意識してご覧になることはないかと思います。
軒天の塗装に剥がれが見られた際も、外壁塗装を依頼する際に同時に補修してもらえばいいだろうとお考えになる方が多いです。
近年ではお住まいのデザインも変容し、そもそも軒天がないというお住まいもあるでしょう。
しかし軒天とは、お住まいの快適さのポイントとなるだけでなく、お住まいの安全性にも大きく影響する重要な役割を担っている部分になっているのです。
ここではお住まいにおける軒天の大切な役割と、軒天の具体的な維持、管理方法を塗装や補修のメンテナンスの視点から解説します。
また、軒天の塗装・補修では足場を必ず使用した作業となります。
併せて外壁塗装を行うことでコストの削減にもつながるということについても解説していきたいと思います。
目次
軒天とは?
「軒天」は軒天井(のきてんじょう)や軒裏天井(のきうらてんじょう)とも言われています。
ほとんどの住宅で見られる部材で、屋根から外壁の先まで突き出ている、いわば屋根の裏側のことを言います。
この突き出した部分があるため、雨水が屋根から直接外壁をつたうことなく軒先(のきさき)まで流れ落ちていくようになっているのです。
また、実はバルコニーやベランダの窓にあたる箇所の裏側も軒天と呼ばれています。
通常の塗装工事ではこうした付帯部も外壁塗装と同時に塗り直すため、外壁塗装を行うのであれば、軒天も同時に塗り直すことが一般的です。
後ほどご紹介いたしますが、軒天(のきてん)に使用される素材は非常に多種多様であり、使用する素材によって塗装・補修方法は異なります。
多くの住宅は軒天が外壁を加工用に30~45cm程度の幅で備えられており、玄関部分には雨宿りスペースとして1mほど角ほどの広さが確率されるよう取り付けられています。
広い軒天(のきてん)にするメリットが多いとはいえ、施工費用を抑える目的では近年は軒天がないシンプルなお住まいも増えています。
片流れ屋根などもそのケースの一つです。
軒天は形状によって住宅の外観を多種多様なものにし、さらには以下の4つのような機能も持ち合わせています。
軒天(のきてん)の役割
・屋根の裏側を綺麗に整える
屋根の内部には野地板(のじいた)や垂木(たるき)等が設置されているのですが、軒天があることによってこれらの構造部分が隠れ、屋根の裏側をすっきりと見せてくれているのです。意匠性の高い和風住宅の中には軒天張付後に化粧垂木(けしょうたるき)を取り付けたものもあります。
・雨水・紫外線から外壁を守る
軒天(のきてん)は雨風の吹き込みや強い紫外線を遮断することで、外壁材の劣化を防止する働きがあります。
確かに軒天がない住宅には現代的なカッコよさがありますが、現実問題としては雨や紫外線にさらされやすくなってしまうために、外壁の経年劣化や雨垂れでの汚れに気を付ける必要があります。
・延焼防止で安全性を高める
万が一ご自宅やお隣、ご近所で火災が発生してしまった場合、住宅に軒天の設置がされていない場合はあっという間に屋根裏へと燃え広がってしまいます。
軒天(のきてん)に不燃材を使用することで、火災による被害拡大を防ぐ役割も果たしてくれます。
・屋根裏の換気で湿度管理
お住まいにもよりますが、穴が空いている軒天(のきてん)材や換気口があるのをご覧になったことはありませんか?
この軒天(材)や換気口の設置には屋根裏に溜まりやすい湿気を排出させて住まいの内部結露を防ぐ目的があります。
湿気の多い日本の風土では特に、このような湿気対策が重要になります。
屋根に関わらず、換気には空気の出入り口を2か所以上設けることによって、より効率の良い湿度管理ができます。
軒天(のきてん)の役割は、お住まいの外観だけにとどまらず、お住まいの性能も支えている要の場所とも言えます。
このように屋根の重要な役割を担う軒天(のきてん)ですが、お住まいのよって素材に違いや注意点があり、メンテナンス方法が異なります。
軒天の素材とメンテナンス方法
・木材系(カラーベニヤ・化粧合板)
木材系素材は新築で使用されることは多くないのですが、費用を抑えリーズナブルに軒天補修を行う目的で使用されています。
この素材は経年による劣化で接着力が弱まって表層が剥がれることがあり、10年以上経過してしまうと多くは塗装が難しくなってしまうため、張り替えや増張補修を行わなければなりません。
・金属系(ガルバリウム鋼板・アルミスパン)
金属系の素材は、屋根・外壁材として高い普及率を誇っており、ガルバリウム鋼板・アルミ共にさびにくいのが特徴です。
鋼板の中には木目調をプリントしたものもあり、施工の際にはカバー工法という既存の軒天(のきてん)を包むように施工する手法を用いることで、腐食を防止することができます。
少ない塗装回数で済みますが、デメリットとして錆が発生してしまうと素材の耐久性が下がり、美観性も低下してしまうという点が挙げられます。
その手目、これらの素材を使用する場合は腐食や穴あきを防止する目的で、15~20年程を目処に錆止め塗料と仕上げ塗料によるメンテナンスをしっかりと行っておきましょう。
軒天(のきてん)塗装で大きなトラブルを防ぐことができます
これまで軒天の役割について解説しましたが、「雨水に直接あたるわけではないから耐水面の心配は無用」というわけではありません。
確かに直接軒天に雨水が当たるわけではありません。ですが、軒天は湿気がこもりやすく、塗膜保護していないままの軒天は劣化して傷んでしまう原因になっています。
他にも風によって土埃や外壁に吹き付けられるため、塗膜による保護がない場合みるみる内に微感が損なわれてしまいます。
お客様から「雨漏りによって軒天が黒くなってしまったのでしょうか?」というご相談を頂くことがありますが、軒天が黒ずんでしまうのは汚れや土埃が付着してしまうからです。
傷んだ軒天がお住まいの見た目も古くしてしまっていませんか?
汚れて黒くなった軒天も、定期的に塗装を行うことで塗膜保護効果が期待できるうえに、埃などの汚れが付きにくくなるという二重のメリットもあります。
ご紹介させていただいたように、屋根の構造部は軒天によって普段は隠れています、そのため軒天が剥がれ、屋根裏が露出している場合は野鳥が構造部へ入り込む恐れがあるので注意が必要になります。
ネズミやハクビシン等が住み着いてしまうこともあり、生き物たちの糞尿で天井材や構造部が腐食してしまったり、配線が噛み切られ漏電や停電が起こるなど様々なトラブルを招いてしまいます。
そのほか危険生物であるハチは天候の影響も少ない屋根裏に巣を作ることが多いです。
軒天(のきてん)を補強したうえ、害獣対策まで行う必要がでてきてしまうと、時間も費用もかかってしまいます。
こうしたトラブルは軒天が劣化したことで発生してしまう被害なので、軒天の劣化を防ぐ対策として塗装のメンテナンスが大事になります。表面の塗膜を保護すると湿気から起こる劣化を防ぐことが可能です。
外壁塗装によってお住まいの見た目を改善される際には、軒天塗装も忘れずに行いましょう。
軒天の状態別メンテナンス方法
それでは軒天(のきてん)の状態別からメンテナンス方法として【塗装・増し張り・張り替え】について解説します。高所作業になる軒天工事ですので足場仮設が必要になります。
1階部分の軒天の場合は脚立で対応できることもありますが、工事の安全性と作業性は足場仮設によって大きく向上します。
補修範囲が広いほどその恩恵も大きい簿で、足場を使用するかどうかは調査・お見積りの際にしっかりと確認しておきましょう。
軒天塗装
軒天(のきてん)は雨水や太陽光にさらされることがないため劣化しにくい部材になっています。
剥がれたり腐食が起こってしまうまでは塗装によって美しさや耐久性を維持することができます。
そこでここからは外壁塗装の際に併せて行うことのできる塗装方法についてご紹介します。
・外壁塗装と同時進行でできる軒天(のきてん)の塗装方法
塗装する場所に、まず高圧洗浄を行って付着した汚れや旧塗膜を洗い流し綺麗にします。
ただし軒天(のきてん)材によっては、水に弱いものもあるので、高圧洗浄せずにケレンやペーパー掛けによる下地処理を行います。
玄関ドアの四隅など入隅部分には蜘蛛の巣や汚れがあることが多くなっています。
年末大掃除などの際に、溜まった汚れを水洗いすることがあるかもしれません、そこで注意が必要なのが、濡れてしまうと傷む素材もあることです。
剥がれそうな塗膜があれば剥がしてしまい、塗装してから軒天材の継ぎ目や釘穴をパテ埋めで目立たないように滑らかに仕上げていきます。
釘で軒天材を固定しているのであれば、錆びた釘が軒天材に錆色を映してしまうことがあります。
いくら綺麗に仕上げても滲んでしまうことがあるのです。
せっかく塗装行ったのに錆色がにじんでしまっては大変なので、錆びの進行を止めるために塗装前に錆止め塗料を塗ります。
軒天塗装では、耐水性・通気性・防カビ・シミ止め効果など機能性に優れる塗料であるEP(エマルションペイント)・AEP(アクリルエマンションペイント)・NAD(アクリル樹脂系非水分散形塗料)という3種の塗料を主に使用します。
軒天塗装において頻繁に登場するのがケンエースG-Ⅱという塗料です。
EP・AEPより高い接着性・耐水性・ヤニ止め効果を誇るNAD塗料であり、長い期間において塗膜を保護し続けてくれます。
軒天塗装は単体で行うよりも、屋外や外壁と同時に塗装することが多い工事になっています。
吹付仕上げでも、外壁塗装と同じか調和した近い色にすることがあります。
軒天塗装でオススメ・人気の色は?
お住まいの塗装では明るく仕上げるために白色を用いて塗装することが多いですが、塗装面積が少なく見える軒天でも軒天が住宅全体を囲っているため、暗色での塗装を行うと思っているより住宅の重厚感が増すことがあります。ただし重い雰囲気になりすぎないように外壁の色と合わせて考える必要があります。
特別なこだわりや理由がなければ明るい色で塗装すると失敗が少なく安心です。
ホワイト系の色は不動の人気になっています。
また、外壁職よりもやや薄い同系色も選ばれることが多いです。
クリーム・ベージュ・ブラウン系のカラーは汚れや色褪せが目立ちにくいので、特に人気が高くなっています。
他にも、全体の色合いと統一感がある薄いクリーム色も人気の色になっています。
軒天には明るい色が多く選ばれていますが、外壁がホワイト・屋根がブラックのようなメリハリの効いたお住まいの場合、軒天にブラックを採用することでお住まいにスタイリッシュな雰囲気を与えてくれます。
軒天の塗装の際に、異なった色ばかりを選んでしまうと、まとまりのないお住まいになってしまうことがあります。
屋根や外壁のように広範囲に使用されている色を考慮して、軒天や雨樋等の色選びをすると良いでしょう。
カラーシュミレーションを活用して全体の仕上がりを確認する方法なら、具体的なお住まいのイメージもしやすくオススメです。
シュミレーションとはいえ、全体的なお住まいのバランスや色の相性を確認して検討を進めることができます。
明るい雰囲気の軒天や、お住まいのアクセントになるような色を用いるとどんな外観になるのか、などのご要望がございましたらお気軽に株式会社シマジューにご相談ください。
次は色を選ばない、軒天の素材の良さを活かしたクリアー塗装についてご紹介します。
・木目調を活かしたい場合
木目調の良さを活かしたいならクリアー塗装をオススメします。
クリアー塗装とはその名の通り透明の塗料で塗る仕上げ方法で、軒天材に色を加えずに素材を活かして塗装による保護を施すことができます。
ただしこのクリアー塗装では、汚れや傷・染みなどを塗装で隠すことができません。仮に補修してからクリアー塗装を行っても、補修部分が丸見えになってしまいます。
外壁塗装も同様で、クリアー塗装によって従来の風合いを残したまま外壁表面の保護をしたい場合は、より早めの塗装が必要になります。
比較的安価な軒天材である木目調のプリント合板は特に経年劣化ではがれやすくなるため、定期的に塗装を行うことで経年劣化の防止をするのがオススメです。
・軒天が剥がれてしまったら
軒天の劣化を防ぐためにも塗装メンテナンスは欠かせません。
もし軒天に剥がれが見られた場合は、塗装ではなく軒天材の補修による対処が必要です。
塗装よりまずは軒天材の補修が必要です。
既存の軒天は経年劣化しているのか、施工範囲はどのくらいにわたるのかによって、補修方法は変わります。
ご希望に合った方法を検討していきましょう。
軒天増張り補修
軒天の表面だけが劣化している場合は、増張り補修という方法が可能です。
既存軒天の上に新たな軒天を張り付けて補修します。
この方法だと既存の軒天を処分する必要がないため、工期の短縮・費用の軽減が可能になるでしょう。
増張り補修を行う時に併せて軒裏換気を設置する場合は、有孔ボードの取り付け場所に穴を開けて換気性能を高めるという工事を必ず行います。
ベニヤの上に張り付けたケイカル板を固定するため、廻り縁か、押し縁を使用します。
部分的な補修で増張りすると、段差になるので、全体的な軒天(のきてん)の経年劣化であれば、足場仮設を設置する時にご相談ください。
・軒天ケイカル板への塗装
軒天の損傷が激しく、雨漏りが起きている場合は張り替え工事をご検討されることをおすすめします。
軒天張り替え工事
軒天の傷みが激しく、雨漏りしていたら張り替え工事をおすすめします。
軒天にて雨漏りが発生した場合、下地も腐食しカビが繁殖しているケースが多くを占めます。
軒天材や下地木材は腐食している場合は撤去し下地を新しいものに組み直したうえで張り替えすることとなります。
張り替え工事のメリットは、劣化箇所のみを部分的に補修できることです。足場も、部分足場の設置で補修工事に対応できます。
全体的な軒天塗装ではなく、部分的な補修をするときにご了承いただきたいのが、仕上がりで既存の部分との差異が生じてしまうことです。
・屋根で雨漏りしているかも?
軒天が湿気で濡れることがありますが、そのせいで特定の場所が雨染みになることは少ないです。
ただ、軒天が変色して黒ずんでしまったり、雨が染みて濡れ跡がついたりしていたら。まずは屋根の改修工事を行う必要があります。
まとめ
最後までお付き合いいただきありがとうございました(^▽^)/
今回解説した軒天ですが、メンテナンスを怠ってしまうと雨漏りなどの二次被害にも繋がってしまいます!
10年に一度の目安で点検や補修を行うと家が長持ちし、快適な生活を送れますよ♪
皆さんもこの機会にお住いの点検を行ってみてはいかがでしょうか?
株式会社シマジューでは屋根工事・塗装承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
☎0120-905-435